舞台『刀剣乱舞』天伝雑感

千秋楽が近づいた時にふと思い立ってチケットが取れるのがライビュのいいところ、ということで刀ステは「天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-」を観に行ってきた。刀ミュは何作か映像配信で視聴済みだったが、刀ステは今回が初観劇になる。
事前に楽しみにしていたポイントはいくつかあった。ステアラの作品を観るのが初めてだからどんな感じなんだろうとか。本田さんの殺陣なんて期待しかないぞとか。どちらも記憶に残る素敵な仕上がりだったけど、それ以外にどうしても書き残しておきたいことがひとつある。

山姥切国広の美しさが尋常ではなかった。丹精こめてモデリングされた3DCGかと思った。それでいて目を伏せたり布を大きく腕で払ったり、ひとつひとつの仕草は確かに人間のそれで、目が離せなかった。
昨年末に映画の刀剣乱舞を観たときに荒牧慶彦の山姥切国広は既に認識していたのに、そのときは今回ほどの異常な感動は生まれなかった。物理的な美しさやキャラクターとして存在するという役者の手腕以外で、激しく心を掴まれた理由に心当たりがある。これまで2.5次元の原作になるようなコンテンツをあまり通ってこなかったこともあり、観劇前の段階では十分に作品を理解していないことがほとんどだったのだが、今回は違った。昨年からアプリをプレイしていて、初期刀である山姥切国広を修行に出すところまで到達していた。自分は山姥切国広を推しているという意識があったのだ。推しがいる状態で2.5次元の推しを見ると、なるほどこんなに高揚するものかと革命的な気持ちだった。推しがいて、2.5次元を経て、もっと推しが好きになれるというのは幸せな経験だと思った。よい2.5次元だと思った。
話は逸れるが、カーテンコールでキャラクターとしてではなくキャストとして挨拶をするというルールが、テニミュから2.5次元というものを知った自分にとっては居心地がよかった。推しを演じているのがどんな人なのか知りたいと思う性質の人間には嬉しい。

あまりストーリーの予習をしなかったせいで途中で気付いたのだが、刀ステはどうやら各公演のお話がしっかりつながっているようであった。過去作に遡ってあの本丸の山姥切国広の歩みを追いかける所存です。