去年、スタリのライブをライビュで観た帰りの電車で、もっとマモのことを見ていたい!というそれだけのモチベーションで、辛うじて残っていた帝劇のチケットを取ったときには、まさかこんなに自分にとって大事な作品になるとは思いもしなかった。
何度も通ったとかではまったくないし、アーカイブも各ペア1回ずつしか観られなかったけど、作品に直接触れていた時間以上のものをたくさん与えてもらった。
ジョジョミュに出会えてよかったなと思う理由はいくつかあるけど、大分すれば2つの軸で説明することができる。
ひとつは、ジョジョという作品を好きになれたということ。
もともと、好きな作家がジョジョに影響を受けたと言っているのを聞いて3部をアニメで履修していたのだけど、ペットショップ戦あたりで描写のグロさに疲弊して離脱したという経緯があり、やっぱりとっつきにくいなという印象で止まっていた。キャラクターは好きだけど、世界観にはまりきれていなかったというか。
帝劇での観劇前に1部も途中までアニメを観たが、忙しい時期だったこともあってあまり集中して観ていなかったと思う。
でも、実際ミュージカルになった1部を観てみたら、一瞬で引き込まれた。
アニメを観るのも好きだけど、それとは比べ物にならないくらい舞台が大好きだから、舞台上で表現されるだけで理解できることがものすごく増える。理解できていることが多いとよりいっそう世界に没入できるし、何よりも作品自体が知りたいという気持ちやもっと入り込みたいという気持ちに応えてくれたから、一幕の早い段階でチケ代以上の感動をもらったように感じた。
キャラクターやキャストの話はあとでゆっくり書くとして割愛するが、とにかくディオの掘り下げがすごかった。それをきっかけに、この人の末路を見届けないといけないという使命感が芽生えて、翌日から奇数部のアニメを立てつづけに観て完走するくらい、『ジョジョの奇妙な冒険』という作品の虜になった。
舞台化されていなかったら、こういう熱量の高いはまりかたはできなかったと思うから、ジョジョを好きになるきっかけをくれて本当にありがとうという気持ち。
あと、アーカイブを観る直前に2部をちょっと観たら、ちゃんと2部につながっていく前提でスピードワゴンが語っているというのがわかって、改めてなんて素晴らしい構成なんだろうと感動で涙が出た。
もうひとつは、ミュージカルの面白さを知れたこと。
舞台は大好きだけど、グランドミュージカルは2年に1作くらいしか観ないで生きてきた。しかもレミゼとかキンキーブーツとか、知っている作品ばかり選ぶ。知っている曲をものすごい歌唱力の人が歌っていて、アンサンブルキャストの迫力がすごくて、生で観るとすごく楽しい!ぐらいの解像度でミュージカルを観てきた。
ディオの掘り下げがすごいと書いたけど、ディオの内面の描写が増えることで、ジョジョとディオのどちらもが主人公に近い印象になったと思っていて。星と泥という対比が一本通っているんだけど、その対比構造を脚本だけでなく曲が支えていると感じたとき、ストレートプレイではなくミュージカルでディオをこういうふうに描写することの意義を強く感じたというか…。
また、リプライズによって継承という観点も強く押し出されていて、ジョジョの世界観を表現するのにミュージカルほどふさわしいものはないな、としみじみ思った。これは3部以降をアニメで観てから実感に至ったことで、ジョジョという作品全体をより好きになったきっかけでもある。
話を戻すと、いままでは歌がすごい!派手だから好き!くらいのテンションで触れていたミュージカルという表現が、さまざまな様式美によって作品の構成にこんなにも貢献していたのか、というのがやっと理解できて、ミュージカルをもっと知りたいと思えるようになったのだった。
細かい感想は時間を見つけて少しずつまとめていきたいと思う。