写真集を買った話

写真集の感想って、一体何を書けばいいのか。
まず、過去の自分にならって書くことを思った。どこかで確実に岩田さんの『Spin』の感想を書いた記憶があったから探したのだが、たいして内容のない一言ツイートしか見つからず、鍵アカに書いてたら遡るのが手間だなあと思って深追いするのをやめた。こういうことがあるからすべての感想は(いかにポンコツな文章だとしても)ブログに集約すべきなのだ。


前回の記事で書いた通り、以下の写真集を買いまして。意外にも、というか推しがまだ写真集を出していないっていうシンプルな理由で、若手俳優の写真集というくくりでは初めて買った写真集になった。

 

写真集なんか普段買わないし、見方がぜんぜん分からない。FCの掲示板(?)で先輩ファン諸兄姉が感想戦をなさっているのを拝読して、こういうふうに言えばいいのか…とようやく輪郭が掴めたような気がする。月額300円で本人からの発信だけでなくファンの良感想が読めるのかなり嬉しいんだが!?


一回通しで眺めてみて、物語性の強い写真が多いなというのが第一印象だった。彼が役者であることを知っているからなのか、映画の観すぎで前後の状況を考えねばという脅迫観念にとらわれているのか。とにかく、好きな1枚を題材にショートムービーのシナリオを練ってくださいって課題があったら任せてくれ!と胸を張るだろう。
 
たとえば、工事現場風の鉄パイプの囲いに腰掛けてあくびをしてる1枚。取り立て屋の役をやってほしくならないか。きらびやかな衣服は彩度の低い風景にはどこか不釣り合いで、地元に逃げてきた対象者を追いかけて都会から出向いて来たヤのつく下っ端のように見えてこないか。口が上手くて女にだらしなくて金の勘定だけはきっちりしててせっかく顔がいいのにあんまり仕事には役立てられてなくて暴力沙汰になるとへっぴりごしだけど決めるとこは決める深夜ドラマの主人公やってくれ。

それから、民家の陰で扇子持って向こうを確認してる写真なんかもそう。チンピラなんだかお上品なんだか分からない紫の柄シャツと扇子・雪駄のバランス、バディものの片方にしたいでしょ。ここは高級スーツを着た真面目系後輩と組ませると思わせて、性格の系統が似てて気の合うタメとセットにしてみるのはどうか。で、実は主人公はその相棒に復讐するために仕事をしていて…みたいなベタなやつ。巻末の裏日記で本人が書いていた、逃げ回るイメージというのもドラマチックさに拍車をかけている。あと文章が普通に面白い。人柄もよく出てるし。嫉妬。また長めのエッセイ読ませてほしい。

一番びっくりしたのは宿の大浴場でシャンプーを流してる写真。生々しくないか!? もっとこう、客室露天風呂で一緒に…みたいな恋人文脈的シチュエーションに寄せることもできただろうに、何でもない行為だけど絶対人には見えない髪洗ってる瞬間を背後から写してるのがツボだった。
ここまで書いてきて、カメラに向かって静止した写真より、動きの途中を切り取った写真の方が好きなのかもしれないな、と自分の好みを他人事のように知る。

あとは、何枚かある地面の上に落ちてる写真が好き。なぜなら顔のいい人間が地面の上に落ちていたら面白いから。
しかめ面の写真も好き。口をぽかんとしてるのも好き。それから、風呂上がりに宿で過ごしてる写真がたくさん載ってるページの次、夜道を歩きながら笑ってる見開きの写真。こういう楽しかった思い出のなんでもない瞬間が走馬灯に出てくる。そういう写真。走馬灯見たことないけど。

彼はかなり目鼻立ちがはっきりしているが、髪形や表情で顔の印象が儚くなったり鋭くなったり、スーパースターのオーラがあるかと思えばそのへんの兄ちゃんにしか見えなかったりする。見ていて飽きない。芝居してるところを生で見るのが楽しみになった。


何にも調べずにAmazonで買ったら、写真集にA5の大判の写真がついてきた。反射的に仕事机の壁に飾った。かわいいものやきれいなものを眺めると仕事中のストレスが緩和されるという噂を聞いたことがあるが、確かに緩和されているようなされていないような…? 効能がまだよく分からないのでしばらくこのままにしておこうと思う。